優しい嘘
嘘という物に価値観を考える機会がある
そう思い、頭を抱える時もある
がん患者末期の人に、「きっと治りますから頑張りましょう」と励ます言葉も
自殺の意思を示す人に、「死んでも何も良いことなんてない」と抗う言葉も
辛いと嘆き続ける人に、「この辛さを乗り越えたら、楽しい日が待ってる」と希望の光を魅せる言葉も
嘘と言えばそうなのかもしれない
でも、そんな言葉が本当に人を救う時もある
逆に、そんな気休めを言われたことに更に落ち込む場合もある
ただ、そこにあるのはその人に安らんで欲しいという想い
言葉が変でも下手でも気持ちはきっと同じ
その人に押し寄せる何もかもを飲み込んでしまう津波のように苦しみの渦は引きずり落とす
状況から非力だとしても
その人を失いまいと
その人の生きる火種を絶やさまいとする
そんな願いから始まるものだと思う
綺麗事を言っているのかもしれない
だとしても、心が救われるのなら
何度だって嘘をつく
希望の光を照らしてみせる
苦しさの真っ暗闇にいる貴方を
ほんの少しでも明るみに導けるなら
導く何かの一助になるのであれば
どんな痛みに変えても
その可能性にかけたいと思う
そうしてまたついてしまう、嘘。